2026 年 53 巻 3 号 p. 179-184
超音波検査(ultrasound: US)での非腫瘤性(non-mass-like: NML)病変の研究は,Uematsuがこのアプローチを最初に報告して以来いくつか発表されており,乳房検査に関する比較的新しいコンセプトである.しかし,結果にはばらつきがあり,USでのNML病変の詳細な病理組織学的特徴に関する研究は少数にすぎない.本稿では,NML病変の病理組織学的特徴についてレビューする.NML病変は病理学的に良性,異型病変または悪性である.USにおける主要所見は,構築の乱れおよび石灰化である.構築の乱れとは,病理学的には乳管内増殖を伴う線維性変化,浸潤性乳癌および上皮内癌を表す.病理組織検査では,良性病変と悪性病変の両方に微小石灰化が認められ,NML病変(特に良性病変の場合は腺症および過形成を含む線維嚢胞性変化,悪性病変の場合は上皮内癌[乳管および小葉])の中でこれらの病変を鑑別することが重要である.鑑別の重要なポイントはNML病変に多くの点状高エコーが認められるか否かであり,これは組織学的には面疱壊死を表す.これらは通常はHER2陽性またはトリプルネガティブの高異型度上皮内癌である.最近の報告によれば,低異型度上皮内癌は高異型度上皮内癌より生存期間が長い.高異型度上皮内癌は面疱壊死の組織学的所見を伴う場合が多く,これはUSで認められる微小石灰化を反映している.NML病変にはある程度の比率で低異型度上皮内癌が含まれると考えられる.したがって,最近の「低リスク乳管上皮内癌」のコンセプトの結果として過剰診断および過剰治療を避けるために,NML病変の検出および管理の際は特に注意が必要である.