超音波医学
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泌尿器のパニック所見
平井 都始子川端 聡岩下 和宏喜舎場 智之千葉 裕
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.262

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抄録

日本超音波医学会より公示された,超音波検査の「パニック所見:緊急に対応すべき異常所見」の,泌尿器領域のパニック所見のポイントについて解説した.泌尿器領域の「緊急所見」は,腎外傷や腎腫瘍の破裂などに起因する後腹膜腔の液体貯留が該当する.腎は後腹膜に位置しGerota筋膜に囲まれているという解剖学的な特徴から,直ちに治療しなければ死に至る頻度は低い.バイタルサインと合わせて超音波所見を確認し,「準緊急所見」として対応できる場合が多いと思われる.泌尿器領域の「準緊急所見」は2つあり,一つは両側腎盂(腎杯)の拡張である.腎盂だけが拡張する腎外腎盂はパニック所見とする必要はない.片腎が無機能腎の場合は,対側の腎盂腎杯の拡張もパニック所見である.もう一つは発熱や圧痛を伴う腫瘤像(内部エコーを伴う液体貯留)である.発熱や圧痛を伴う腎感染症で,腫瘤像(内部エコーを伴う液体貯留),腎内気腫像,デブリを伴う腎盂拡張を認める場合は「準緊急所見」である.

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