論文ID: JJMU.R.265
最近の医療施設では,検体検査は勿論,超音波検査などの生理検査でも医師以外の検査実施も多くなり,さらに検査室以外で検査する機会も増えている.その際に発生し得る「緊急事態への対策システム」を講じる必要があり,既に検体検査部門では,「パニック値」として臨床に広く知られた「緊急対応システム」がある.超音波検査でも,「その所見に緊急性がある」と判断した場合には速やかな診断・治療が求められる.超音波検査で得られた所見が緊急疾患と診断された場合には,その診断された疾患の緊急度・重篤度に応じた治療が必要である.ただし,「医師と検査技師・看護師など(以下技師等)とは職能が異なる」ことに注意する.医師は所見から診断して即処置・治療することが可能だが,技師等は画像・所見を認知/報告して確認依頼はできるが,診断や治療はできない.しかし,注意を要する「重篤な病態/疾患を考慮すべき画像・所見の候補」を予め明示しておけば,技師等が検査した場合に「注意すべき画像・所見の候補あり」と認知し速やかに医師に報告,確認を依頼できる.疾患の重篤度により緊急度は異なり,緊急度は「緊急」と「準緊急」の2階層+「早期」が提案された.「緊急報告体制(システム)」は各施設に応じて構築しておく必要があり,さらに各現場の実情に応じてそれらを吟味・検証を重ね,広く活用され臨床に役立つことが期待される.その為には,現場の技師等や医師への広報が必須である.