2016 年 46 巻 2 号 p. 39-44
昆虫病原性線虫Steinernema carpocapsae の病原性は共生細菌Xenorhabdus nematophila に大きく依存する。線虫自体の病原性や昆虫組織への影響を理解するため、線虫の侵入、昆虫の死亡率、昆虫体内での線虫の発育、および昆虫組織への線虫感染の影響について、無菌および保菌線虫の間で比較した。無菌感染態幼虫の侵入率は、保菌線虫よりも低かった。無菌および保菌線虫は、無菌および無菌化していないハチノスツヅリガおよびハスモンヨトウ幼虫の両方を殺した。しかし、無菌線虫は、保菌線虫に比べて殺虫に時間がかかり、無菌昆虫の殺虫により時間がかかった。無菌線虫は昆虫体内で発育し、増殖したが、保菌線虫に比べて発育や増殖は遅れた。無菌線虫が感染した昆虫組織の崩壊は、保菌線虫が感染した幼虫に比べて遅く、昆虫体液のメラニン化の抑制は無菌の線虫では認められなかった。以上、S. carpocapsaeは細菌の非存在下でも殺虫力および昆虫組織の分解力を有するが、保菌線虫に比べて無菌線虫は病原性が低いことが示唆された。