2023 年 15 巻 1 号 p. 83-91
ターミナル期にある小児がんの子どもの意思決定を支援する看護師の倫理的苦悩を明らかにすることを研究目的とし、看護師を対象にした半構造化面接を行った。分析対象となったのは9名の語りで、ナラティヴ研究法によるテーマ分析と構造分析を行った。その結果、構造分析により6つの語りの構造とその語りの特徴が見出され、テーマ分析により9名の倫理的苦悩のテーマと5つの意思決定の内容と13の行いたいと考えた行動と17の行動の妨げが見出された。看護師は倫理的苦悩を語る際に、迷いながら、言葉を選び、自身の行動を語る特徴があった。また、看護師は子どもの意向を確認したり、説明する必要性を認識していたとしても、行動を妨げる要因があるために、倫理的苦悩を抱えていた。看護師は子どもや家族とともに揺らぎ、悩みつつ、倫理的苦悩に対峙し続けていくことで、看護師としての成長があるのではないかと示唆された。