日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
臨床看護師が体験している倫理的問題の頻度とその程度
小川 和美寺岡 征太郎寺坂 陽子江藤 栄子
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2014 年 6 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

本研究は、臨床看護師が体験している倫理的問題の頻度およびその程度を明らかにし、倫理教育のあり方や支援を検討するための資料を得ることを目的とする。臨床看護師799名を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。結果、倫理的問題の体験頻度の上位には、「患者の安全確保のために身体抑制や薬剤による鎮静をすること、或いは鎮静しないこと」「患者に十分な看護ケアを提供できていない看護師の人員配置に関すること」が示された。倫理的問題の悩みの程度の上位には、「医療従事者や医療施設の非倫理的または違法な行為を明らかにすること」「医療従事者として非倫理的であったり、能力が低かったり、不適切な行動をとる同僚と働くこと」が示された。臨床看護師は専門職としての役割・責務を果たすことや、患者の権利や尊厳を守ることに高い関心を寄せており、また同僚看護師や他の医療者との関係に影響を受け、それが強い悩みに繋がっていた。今後は全職員対象の倫理教育や組織的な体制整備が課題である。

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© 2014 日本看護倫理学会
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