抄録
本研究は精神科病棟に勤務する看護師の「巻き込まれ」の体験を明らかにすることを目的とする。Z県内の精神科単科病院に勤務する精神科での看護師経験年数が5年以上の看護師6名に1人につき2回の半構造化面接を行った。データの分析には質的帰納的手法を用いた。インタビューから「巻き込まれ」の体験に関するコードを525語抽出し、4の大カテゴリ、14の中カテゴリ、37の小カテゴリを生成した。精神科病棟に勤務する看護師の「巻き込まれ」の体験は、[患者のニーズを捉えられない]、[患者を理解できない苦痛]、[自分一人の力によって解決しなくてはいけないという思い込み]、[患者の状況や自分の傾向を振り返ることによる客観的視点の獲得]であった。「巻き込まれ」の体験は、事態を可視化し状況の整理を図ることにより、看護師としての成長を促す体験になると示唆された。