抄録
本研究は、精神科看護師がどのような時に仕事のやりがいを感じているかについて、質的に明らかにすることを目的とした。2021年7〜8月(新型コロナウイルス感染症流行期)に、自記式調査票を用いた自由記述の横断調査を行い、精神科看護師143名の回答を内容分析の手法により分析した(有効回答率: 27.9 %)。回答は254記録単位に分けられ、『退院に向けた支援・関わりにより、患者が退院できた時』、『患者・家族から感謝や肯定的な評価をされた時』、『患者・家族から必要とされ、信頼される存在であると感じた時』などの13カテゴリーが生成された。これらのうち、『退院後、患者が自分らしく地域で過ごせていることを知った時』は、精神科看護に特徴的なやりがいのカテゴリーであると考えられた。コロナ禍であっても、仕事でこのような経験をすることにより、精神科看護師は仕事の意欲を維持・向上させ、生き生きと働くことができると考えられた。