看護科学研究
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高齢者のための足踏みを用いた全身持久力の間接的測定方法
高波 利恵片瀬 由加里草間 朋子
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2006 年 7 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

段差を用いず、狭い場所でも簡易に実施できる高齢者のための全身持久力測定方法として、足踏み時の心拍数(HR)や血圧を評価指標として用いることを発案した。研究目的は、年齢64.8±2.4歳の健康な女性5名を対象に、120ピッチの足踏みを6分間行い、その際の酸素摂取量(Vo2)、HR、収縮期血圧(SBP)の推移を明らかにすることと、自転車エルゴメータを用いてATから求めた全身持久力と足踏みに必要なHR、SBPの関係について検討することである。足踏みによるHR、SBPの定常状態は足踏み開始後5分目までに現れた。Vo2の定常状態が現れたのはBとCの2名だけで、定常状態のVo2は、被験者Bが13.8ml/kg/min、Cが15.1ml/kg/minであった。AT時のVo2は13.2±3.9ml/kg/minであった。ATから求めた全身持久力と足踏み時のHRとの相関関係は強い負の関係(r=-0.85)で、SBPと弱い負の関係(r=-0.50)が示された。以上より、足踏みを5分以上実施することで、全身持久力を推定できる可能性が示された。今後は、本研究の被験者よりも幅広い全身持久力をもつと思われる地域住民を対象に適用するための検討として、地域居住の高齢者を対象に足踏みを行い、適切な足踏みのピッチや必要な運動負荷時間、全身持久力との関係を明らかにする。

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© 2006 看護科学研究編集委員会
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