日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
短報
モンテカルロ・シミュレーションを用いたバレニクリン酒石酸塩の腎機能および体重に応じた投与量の検討
林 雅彦八重 徹司柴田 和彦三輪 高一森 尚義大井 一弥平田 純生
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2015 年 4 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

【目的】低体重かつ腎機能障害のある喫煙者におけるバレニクリンの薬物血中濃度-時間曲線下面積(AUC)について検討した。【方法】体重(65、55 kg)、クレアチニンクリアランス(CLcr)(100、60、40 mL/min)におけるバレニクリン投与量(2.0、1.5、1.0 mg/日)別に、AUC 200、250、300、350、400 ng・h/mLを超える確率を、母集団パラメータに基づき、モンテカルロ・シミュレーションを用いて10,000回のシミュレーションで予想した。AUC有効域は200~300 ng・h/mL、嘔気・嘔吐発現域は300 ng・h/mL以上とした。【結果】体重65 kg、2.0 mg/日投与、CLcr 100 mL/minで予想した場合、AUCが300 ng・h/mL を超える確率は0.1%、40 mL/minで300 ng・h/mL を超える確率は100%であった。40 mL/min で1.5 mg/日投与の場合、200 ng・h/mLを超える確率は99.9%、300 ng・h/mLを超える確率は34.0%となった。55 kg、2.0 mg/日投与、CLcr 100 mL/minで予想した場合、200 ng・h/mLを超える確率は89.7%、300 ng・h/mLを超える確率は3.7%、60 mL/minで300 ng・h/mLを超える確率は84.2%となった。60 mL/min で1.5 mg/日投与の場合、300 ng・h/mLを超える確率は8.6%となった。40 mL/min で1.0 mg/日投与の場合、200 ng・h/mLを超える確率は78.4%、300 ng・h/mLを超える確率は2.9%となった。【結論】65 kgでは、40 mL/minから1.5 mg/日への減量を考慮する必要があった。55kgでは、60 mL/minから1.5 mg/日への減量を考慮し、40 mL/minから1.0 mg/日への減量が必要となった。

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© 2015 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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