2021 年 21 巻 1 号 p. 99-111
行政事業レビューにおけるEBPM推進は、ロジックモデルの作成による事業の吟味という取組みによって行われている。これに関しては、実験や高度な統計分析などが行われていないため、EBPMの本旨に即していない、とみる向きもあるが、この見解は行政事業レビューの特性や目的を考慮できていない点で問題がある。本論文では、行政事業レビューの位置づけを明確にした上で、2019年度の行政事業レビューの事例を検討した。その結果、行政事業レビューの課題として、①外部有識者の問題意識に影響されるという点、②掲げているインパクトが「政策」や「施策」も含めたものになっている点が明らかになった。これらの課題を示しつつ、行政事業レビューの特性を活かし、その他の取組みと役割分担をした上で、教育・啓蒙的な効果を重視することが重要であることを示唆した。