SDG評価の特徴でありかつ困難のひとつは、抽象度が高く質的な、理念志向のターゲットが含まれていることである。本稿の目的は、SDG理念志向ターゲットの評価を捉える理論枠組みを提示することと、その枠組みに示される「ローカル‐形成評価」の実効性を検討することである。そのための方法論として、理論考察とアクション・リサーチを併用する。
従来の画一的な定量指標では捉え難い理念志向ターゲットの登場により、測定可能性の追究から評価可能性の検討へと発想をシフトする必要が生じている。評価可能性を高めるためには、その国やその社会の文脈を考慮して、抽象的なグローバル目標を実践現場の活動へローカル化する手続きが必要になる。本稿では、SDG理念志向ターゲットの典型例であるSDG4.7のESDに注目し、公立小学校においてESD評価のアクション・リサーチを行った。その成果から、「ローカル‐形成評価」におけるセオリー評価の意義と役割が明らかになり、中でも協働型のマネジメントが実効性の鍵を握ることが分かった。