2021 年 21 巻 2 号 p. 47-62
SDGs第7目標(以下SDGs7と略)は汚染の少ない現代的エネルギーの普及と利用の効率性を通じて持続性を高めることを目指している。人々が貧困から抜け出すためにはエネルギーの使用が不可欠である一方で、エネルギー供給は枯渇性資源に依存することがまだ多く、第7目標がSDGs全体の成否の鍵の一つを握っていることは言うまでもない。SDGs7は他の多くのSDGs目標の実現と関連性が強い一方で、目標横断的なセオリーをSDGsは示していない。そこで、SDGs7は他の目標あるいは持続性全体との関係でどのようなセオリーを描きうるのかを、本稿のリサーチ・クエスチョンとした。SDGs7が重要な指標の一つとするエネルギー・インテンシティー(Energy Intensity)は持続性に示唆を与える指標になりうるのか、また、目標の一つである再生可能エネルギーの導入はアウトカムとして人々の暮らしにどのような変化をもたらしているかについて検討を行うことを通じて、セオリーの構築を試みつつ、SDGs7の評価、さらにそれを通じたSDGs全体の評価の課題を明らかにしていきたい。