抄録
近年、初等教育分野ではプログラム・ベースド・アプローチ (PBA) による援助が活発化している。本研究では、ホンジュラスとベトナムの「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアチブ」(EFAFTI) を事例に、開発成果実現の観点からPBA援助の形成評価を行った。その結果、アプローチは同じでも開発成果実現に向けた進展には差異があり、計画の適切性、援助依存度、実施能力、実施環境等が影響することを明らかにした。PBAは一律に議論されがちであるが、各国固有の状況をふまえた進め方が必要である。そのためには、対象国の課題をシステミックに捉え、実施能力の強化を盛り込んで段階的に取り組んでいくことが重要であり、イニシアチブやアプローチがドナー主導とならないことが必要である。また、PBAにおける個別援助の貢献は、投入やアウトプットとの関連に焦点を当てて検討するだけでなく、全体の中での位置付け・役割に照らし、実施基盤や実施プロセスへの貢献を含めて評価することが必要である。