1994 年 35 巻 2 号 論文ID: jjom.H05-97
モクセイ類に寄生するさび菌の1種Zaghouania phillyreaeの冬胞子堆上の夏胞子数は鹿児島県薩摩半島の南部において,冬の初め(1月)から早春(3月)にかけて増加した.そして遂には冬胞子堆がほとんどすべて夏胞子に占められるようになり,あたかも冬胞子堆が夏胞子堆に変ったような現象がおこった.
少数ながら担子胞子と夏胞子の特徴をあわせもつ胞子状の構造物が冬胞子の基部末端に形成された.
室内実験によれば,担子胞子数に対する夏胞子数の割合は気温の高低と直接的な関係はなかった.しかし,野外において冬胞子および担子胞子が多数形成されている時期に材料を採取して行った実験では低温(5-10℃)において夏胞子の形成される割合は小であった.