2015 年 56 巻 2 号 論文ID: jjom.H27-01
Polyporus 属(タマチョレイタケ目)には,形態的に多様な種が含まれていた.一方で,本属には,顕微鏡的特徴や腐朽型が共通する「関連属」が存在した.本属および関連属の分類学的再評価を目的とし,これらの詳細な系統関係を解明した.分子系統解析の結果,本属および関連属は6 クレードに分割され,うち2 クレードには本属種に加えて関連属種が含まれており,これらの属の分類学的再編成の必要性が示された.5 クレードについては,柄の位置,傘肉の質感,柄の殻皮化の程度など,従来属内グループを定義するのに用いられた形態的形質によって,概ね特徴づけることができた.Polyporus 属(広義)の分類学的再編成の一環として,2 クレードを対象に詳細な研究を行った.その結果,1 クレードをFavolus 属として6 種を認め,もう1 クレードについては新属 Neofavolus 属を提唱,1 新種を含む3 種を所属させた.また, 日本産 Polyporus 属(広義),Favolus 属,Neofavolus 属および Echinochaete 属の詳細と種リストを示した.