2015 年 56 巻 2 号 論文ID: jjom.H27-05
木材腐朽菌に攻撃性を有するTrichoderma virens 菌株として選抜されたNBRC 31959 を供試し,木炭固定化トリコデルマの木材防腐性能を評価した.その結果,カワラタケを含む4菌株の担子菌の木材腐朽に対する抑制効果は確認できたが,オオウズラタケの木材腐朽に対する抑制効果は認められなかった.木炭固定化の場合と異なり,Trichoderma spp. ANCT-05103 のベイクウッド固定化トリコデルマではオオウズラタケとカワラタケに対する木材防腐性能が大きく低下した.一方,水分を7~80%に調整した木炭粉砕物単独,およびpH を3.5~10.7に調整した木炭粉砕物単独の両木材腐朽菌に対する木材防腐性能は認められなかった.従って,木炭粉砕物とTrichoderma spp. 菌株の組み合わせにより,固定化トリコデルマの木材防腐性能を向上させる何らかの作用が生じることが示唆された.