2020 年 61 巻 1 号 p. 19-25
日本新産のシラウオタケ属菌Multiclavula vernalis (新称:ネコノコンボウ)について,長野県産標本に基づき,子実体と地衣体の形態を報告した.また,核rDNAのITS領域の分子系統解析の結果,および多胞子由来の培養株の情報も付記した.本菌は亜高山帯の黒ボク土からなる地上に子実体を散生し,地衣化していた.地衣体は地上に形成され,不定形または小球形,菌糸が一個または数個の藻類細胞を取り囲む構造をしていた.共生藻は緑藻で,球形から楕円形,細胞内に油球と思われる小胞を多数有していた.