日本口腔顔面痛学会雑誌
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原著
口腔粘膜欠損修復のための真皮欠損用グラフトの疼痛緩和効果
由良 晋也
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2008 年 1 巻 1 号 p. 43-46

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抄録
目的: 本研究の目的は, 口腔粘膜欠損修復のための真皮欠損用グラフトの疼痛緩和効果を調査し, その効果に関係する因子を分析することである.
方法: 対象は, 真皮欠損用グラフトを用いた粘膜欠損修復を受けた61名である. 疼痛緩和効果の評価に際しては, 鎮痛剤使用状況を調査した. 疼痛緩和効果に影響する因子の分析に際しては, 患者の性別, 年齢, 創面の深さ (粘膜下, 筋層, 骨面), 固定法 (縫合のみ, 被覆併用), グラフトの短径 (mm), 長径 (mm) の6項目を調査した. 疼痛緩和効果を従属変数, これら6項目を独立変数として, ロジスティック回帰分析を用いて両者の関係について解析した.
結果: 手術翌日に鎮痛剤を服用した患者は, 31%であった. 疼痛緩和効果と真皮欠損用グラフトの短径との間に, 有意な関係が認められた (p=.003). 疼痛緩和効果があった患者の短径は5-40mm (中央値15mm) で, 効果がなかった患者では10-40mm (中央値30mm) であった.
結論: 真皮欠損用グラフトを使用した口腔粘膜修復において, 疼痛緩和効果は多くの患者に認められた. 真皮欠損用グラフトの短径を小さくすることは, 術後疼痛の減少に貢献するであろう.
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© 2008 日本口腔顔面痛学会
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