日本口腔顔面痛学会雑誌
Online ISSN : 1882-9333
Print ISSN : 1883-308X
ISSN-L : 1883-308X
原著論文
咀嚼筋痛患者の病悩期間に関連する因子の特定
野口 智康柏木 航介野口 美穂半沢 篤半田 俊之福田 謙一
著者情報
キーワード: 咀嚼筋痛, 病悩期間, PHQ-9, PHQ-15, GAD-7
ジャーナル フリー

2021 年 13 巻 1 号 p. 29-35

詳細
抄録
目的:咀嚼筋痛は,多因子が関与して発症することから,病悩期間の個人差も大きい.そこで本研究は数ある原因因子の中からスクリーニングツールによって評価される心理社会的因子が,病悩期間に与える影響を調査することを目的とした.
方法:咀嚼筋痛の診断を受け,同意を得たものの中から診断時の年齢,性別,心理社会的因子の質問票(うつ:Patient Health Questionnaire-9以下PHQ-9,身体化:Patient Health Questionnaire-15以下PHQ-15,不安:Generalized Anxiety Disorder-7以下GAD-7を使用)のスコア,筋痛のサブタイプ(局所性筋痛または筋膜痛),病悩期間(自覚症状出現から診断に至るまでの期間)を調査した.得られたデータから,病悩期間の中央値を算出した.そして,病悩期間(中央値未満と中央値以上の2値変数)を従属変数とし,年齢,性別,心理社会的因子の各スコアと咀嚼筋痛のサブタイプを独立変数としたロジスティック回帰分析を行い,病悩期間に関連する因子を特定した.
結果:対象者は68名であった.PHQ-15に有意性を認めたが,その他の項目に有意性は認めなかった.PHQ-15のオッズ比は1.25(95% Cl:1.09-1.43,P=0.002)であった.
結論:咀嚼筋患者の病悩期間に最も関連する因子は,PHQ-15(身体化)のスコアであった.
著者関連情報
© 2021 日本口腔顔面痛学会
前の記事 次の記事
feedback
Top