抄録
本研究の目的は,障害のある子どもと母親がともに社会的存在として成長する過程を共作業の視点から理解することである.日本のある地方在住の重症心身障害児と母親の会に所属する母親にインタビューを実施し,参加観察を行った.母子の共作業は子どもの成長段階につれて変化し,子どもの作業的場所は母子,家族,社会へと広がっていた.従来の重症心身障害児・者の母子の共作業にみられた密着した関係と異なり,母子以外の他者を含み,子どもの社会参加が広がっていくことがわかった.この子どもがどのような社会的存在として成長しているのか,それを母親がどのように支援しているのか共作業の視点で理解する.