育種学雑誌
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イネいもち病抵抗性との連鎖を利用して検出した出穂性遺伝子座の複対立性
横尾 政雄菊池 文雄
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1977 年 27 巻 2 号 p. 123-130

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抄録
イネのいもち病抵抗性遺伝子 Pi-ztの雑種集団における分離を媒介として,Pi-ztと密接に.連鎖する出穂性遺伝子産 Lm1^)に関する遺伝子分析を行い,Lme,Lmn,Lmtの3個の複対立遺伝子を見出した。これらの複対立遺伝子の作用は不完全優性であり,Lme-Lmn-Lmtの順で出穂を遅延させる。Lm座は,イネの第I連鎖群にあって,日本型・インド型品種に共通して出穂性を支配する主要た遺伝子座であり,その中にさらに多数の複対立遺伝子の分化を生じているものと推測された。雑種集団の出穂期に関する変異は,連続分布を示したり,また,双峰あるいは三峰分布を示す場合でもその境界が重なり合うことが多いので,遺伝子分析のためには一般に検定交雑や後代検'定に頼らざるを得なかった。しかし,出穂期を支配する遺伝子と密接に連鎖する標識遺伝子を利用すれば,問題の出穂性遺伝子を分析することが可能であり,本研究では,いもち病抵抗性遺伝子 Pi-ztを標識遺伝子として,この方法の有効性を確かめた。
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