2019 年 24 巻 1 号 p. 11-18
昨今,日本の薬事行政において,安全性監視におけるリアルワールドデータ活用を念頭においたさまざまな規制改革が進められつつある.その最も大きなもののひとつが,「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令 (平成 16 年厚生労働省令第 171 号)」(Good Post Marketing Study Practice;GPSP) の改正によって,製薬企業が実施する製造販売後調査のひとつに「製造販売後データベース調査」が位置づけられたことであろう.しかしながら,医薬品安全性監視としてデータベースを活用するということは,今まで日本の安全性監視の主流であったシングルコホート数千例の使用成績調査をそのままデータベースに置き換えるというような単純なことではない.リアルワールドデータ活用をきっかけに,取り組むべき課題により最良の手法が選択されるよう安全性監視における種々の課題の進展が期待される.