論文ID: 29.e2
目的:日本の製薬企業を対象にリアルワールドデータ(RWD)の種類別の利活用目的・理由・課題等を調査することを目的とする.本調査では,今後活用が期待される電子カルテ (EMR),パーソナルヘルスレコード,レジストリなどのRWDに着目した.
研究デザイン:ウェブベースのアンケート調査
方法:本アンケート調査は,日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会に所属する68社を対象に,2022年1月18日~2月14日に実施した.対象は,原則1社4部門(臨床開発,市販後安全性,メディカル・アフェアーズ,医療経済・アウトカムズリサーチ)とし,その他の部門横断的な部門の回答も可とした.
結果:[背景]68社中40社から,102件の回答が得られた.全体では,「RWD の活用経験あり」が75件(73.5%),「RWD の活用を検討した経験あり」が12件(11.8%)であった.[RWD ごとの利活用]種類別では,病院レセプトの利用経験が最も多く(65件,63.7%),次いで保険者レセプト(61件,59.8%),サーベイ(38件,37.3%),EMR(36件,35.3%)であった.
結論:本調査により,本邦におけるRWDの種類別の利活用の現状と課題が明らかとなった.今後,複数のRWD間のデータリンケージやデータの標準化により,RWDのさらなる利活用が進むことが期待される.