抄録
急性リンパ性白血病の3歳女児が, 寛解導入療法終了後, 抗生剤不応性弛張熱, 腹痛, 肝脾腫脹を呈した.血液・生化学検査では, 好中球増加, CRP強陽性, ALP上昇, CT検査にて肝に多発性膿瘍像を認めた.膿瘍の針生検では診断確定されなかったが, 同時期のカンジダ抗原検査 (CAND-TEC) 陽性, β-D-グルカン, D-アラビニトール値よりカンジダ性肝膿瘍と診断し, AMPH-B, MCZ, FCZによる治療を開始した.治療開始8週後にCAND-TEC, β-D-グルカン値は陰性化し, 11週後に解熱し, 14週後のCT検査で肝膿瘍像は完全に消失し治癒と考えられた.急性リンパ性白血病に合併した深在性真菌症の診断・治療モニターリングにCAND-TEC, β-D-グルカン, D-アラビニトールがきわめて有用であった症例を報告した.