皮膚の科学
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症例
生検後に消退傾向を示したhobnail hemangiomaの1例
中野 英司藤原 進下浦 真一高井 利浩村田 洋三熊野 公子
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2009 年 8 巻 4 号 p. 416-421

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抄録

31歳,女性。初診2ヵ月前より右こめかみに無症候性の皮疹が生じ,近医を受診した。外傷の既往や皮疹の変化はない。右こめかみに周囲に淡紅色斑を伴う小指頭大の暗赤色結節を認めた。生検標本では真皮浅層から中層に鋲釘状に内皮細胞が突出する拡張した脈管が増生し,不規則に吻合し裂隙様となっていた。周囲に赤血球血管外漏出とヘモジデリンの沈着を認めた。内皮細胞には核分裂像は少ないが大小不同があり,CD31と34陽性,FactorVIII関連抗原とD2-40陰性。生検1ヵ月半後に周囲の斑は消失した。切除標本では軽度の血管増生のみで異型細胞は認めなかった。以上よりhobnail hemangiomaが生検後に消退傾向を示したと考えた。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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