抄録
EB-VAHSに, 中枢神経合併症として非痙攣重積状態と一過性器質精神病状態 (錯乱) を呈した5歳女児例を経験した.本症例は, 急性期に著明なDICを呈しており, 中枢神経症状は, 脳波および画像診断などから, DICにより脳内の循環不全, 微小血栓をきたし, 出血性梗塞を発生したことに起因すると考えられた.原疾患に対してHLH-94プロトコールに従い化学療法を行い, 発症後1年を経過し, 寛解を維持している.精神病状態は一過性で, 発症約2カ月半後に自然軽快したが, 後遺症として, 左後頭葉を焦点とするてんかんおよび視覚認知障害を認めた.