日本小児血液学会雑誌
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小児期ALLの治療におけるメソトレキセート (MTX) による副作用の発現についての検討
杉田 憲一長田 睦子榊原 均杉山 節郎加藤 邦重江口 光興古川 利温
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1989 年 3 巻 1 号 p. 41-46

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抄録
東京小児白血病治療委員会の第10次案ないしは第11次案で治療し, 初回寛解を維持しているALL患児を対象にMTXの影響について検討した.1) 経過でMTXの投与量の変更が必要となった.その原因は肝機能異常, 白血球減少や発疹の出現のためであった.投与量の変更の必要性は臨床経過とともに増加した.2) MTXの血中濃度 : MTXを内服し, 4時間後の血中濃度は1.3 ×10-7mol/mlから5.8 × 10-7mol/mlの範囲で見られた.3) リンパ球の3H-thymidineの取込みに及ぼすMTXの影響を20症例で検討し, 症例間で相違した結果が観察された.便宜的に次の3グループに分類した.すなわちMTXの存在下で3H-thymldineの取込みの減少する例 (2例), 取込みの増加する例 (5例) および影響のみられない例 (13例) に分類することができた.4) in vitroでの結果および臨床症状から一部の症例の副作用はアレルギー反応によることが示唆された.
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