1993 年 26 巻 2 号 p. 219-222
CAPD患者で腹壁ヘルニアを合併した場合, 一般的には外科的修復術が選択されることが多い. しかし, 今回我々は, 66歳の男性でCAPD歴5年8が月の症例で, 1回注液量を2lから1lまで減量し, 1日の総注液量も8l/日から5l/日まで低下させ, CAPDを維持しえた経験をした. 本症例で, 保存的治療が可能であったのは, 自己管理がスムーズに行えたこと, 腹膜機能が比較的良好に保持されたと思われたこと, さらに患者の自立への意欲が積極的に示されたことなどによると考えられた.
今回の経験から, 腹壁ヘルニア合併のCAPD症例でも, 保存的治療の可能性も念頭に置いて対処すべきであると教えられた.