2021 年 5 巻 論文ID: 2020-046
近年,超高齢社会に対応するためリカレント教育が推奨されており,薬剤師にも職能の多様化に対応すべく生涯学習が求められている.そのため,京都薬科大学では多職種連携を意識した「フィジカルアセスメント講座」を開講した.本講座の教育効果を評価するため,研修内容や受講者の変容についてアンケート調査を用いて検証した.その結果,受講者103名のフィジカルアセスメントの理解度の自己評価が受講前後で有意に向上した.他機関のフィジカルアセスメント講習会の参加経験の有無に分けて理解度を比較すると,受講前では経験者群は未経験者群と比較して有意に高かったが,受講後では経験者群と未経験者群間に有意な差はなかった.また,本講座の受講により「多職種が行うフィジカルアセスメントの目的が理解できた」との回答が多かった.以上より,本講座は多職種連携によるフィジカルアセスメントの理解度を一律に引き上げる教育効果があることが示唆された.