2021 年 5 巻 論文ID: 2020-074
地域包括ケアシステムの推進に伴い,在宅医療において薬剤師に求められるスキルは多様化している.一方,在宅医療に特化した実践的な教育体制は確立されていない.本研究では,在宅医療における薬学的管理に関する卒後教育プログラムとして,思考過程に重点を置いたシミュレーション教育(SBE)のシナリオ作成とその評価・改良を行った.薬局薬剤師を中心とした受講生65名を対象に受講後のアンケートおよび受講前後の理解度についてルーブリック評価を実施し,アンケートの記載内容をテキストマイニング手法により解析した.受講前後で,「被疑薬の抽出」や「問題解決力」に関する自己評価の向上が見られた.薬剤師経験年数の短い群では「知識」や「情報」について,薬剤師経験年数の長い群では「副作用」や「症状の考察」について肯定的な意見が得られ,今回のプログラムが知識だけでなく思考力にアプローチできる内容であったと考えられた.