2021 年 5 巻 論文ID: 2021-006
多くの薬学部が6年制に移行し,実務実習の重要性が増している.実務実習は,薬剤師の視点で行なわれることが多い.今回,和歌山県立医科大学サテライト診療所と隣接する和歌山県薬剤師会営薬局を利用している患者に同行し,診療現場から薬局に至る過程を体験する実習を実施した.学生は医師の処方意図,処方内容の説明,病状の理解の重要性および実習の有効性について高く評価した.多職種連携についてのアンケートでは実習後4つの領域で改善がみられた.職業アイデンティティのアンケートでは実習後5つの領域で改善がみられた.質的解析では,実習の有用性,処方意図,患者情報,多職種連携,処方指導・監査がカテゴリーとして抽出された.診療所・薬局連携実務実習により,学生は従来の実務実習では経験できなかった異なった視点での体験をすることができ,職業アイデンティティと多職種連携の意識,処方意図と患者説明への理解が向上した.