2021 年 5 巻 論文ID: 2021-011
平成27年に厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」を公表し,地域包括ケアシステムの担い手として薬局が果たすべき役割を示した.その役割が「地域住民への健康サポート」から「重度な要介護者への対応」まで多岐に渡る中,その重要な基盤を担うのが「栄養ケア」である.薬剤師には,栄養と医薬品との関連性を考慮しながら,医師,看護師,保健師,栄養士などの多職種と連携を図り,患者個々に合った栄養ケアに関わることが求められる.しかしながら,薬学教育モデル・コアカリキュラムにおいては医薬品・栄養・多職種連携について統合的に学び,実践する教育プログラムが確立していないのが現状である.本稿では,健康食品も含めた新たな薬学の専門領域の一つとして栄養薬学を導入する意義及び解決すべき課題などについて,在宅医療に関わる薬剤師,サプリメント等の適正使用に携わる薬剤師の視点で紹介する.