福岡大学薬学部では入学後にリメディアル教育を実施している.2014年度入学者が卒業に至るまで追跡した成績データと,アンケート調査の結果を解析することで,これまで明らかになっていなかった本学における生物リメディアル教育の長期的な効果を検証した.成績解析の結果,リメディアル教育の受講により,入学時に実施したプレイスメントテストIで見られた学力差は早期に解消し,その効果は卒業時まで維持された.またアンケート調査結果から,リメディアル教育開始時には回答者の65%が抱えていた生物に対する苦手意識の改善につながったことが分かった.さらに第105回薬剤師国家試験の合格率は非受講者と比較し,受講者の方が高かった.これらの結果から,リメディアル教育の受講により早期に生物への苦手意識を取り除くことは,学生が薬学を学ぶ上で,卒業に至るまでの長期にわたる学修意欲の維持・成績向上に寄与することが示唆された.