2022 年 6 巻 論文ID: 2022-032
我々は,適切な測定と統計解析による社会調査研究ができる薬剤師の養成を目指し,チーム基盤型学習(TBL)と問題解決型学習(PBL)による演習プログラムを構築し,量的研究によりその有用性を既に報告している.今回,本演習内で学生が経験した学習過程を詳細に検証するため,質的研究を加えた混合研究として解析を進めた.既報の量的解析で学生を分類した5つの群ごとに,演習の感想文をSteps for Coding and Theorization(SCAT)により解析し,ストーリーラインと理論記述を生成した.その結果,学生は自らの立ち位置や既有の知識,能力に合わせてアクティブラーニングの中で多様な学びに取り組んだことが明らかとなった.同じ量的な傾向を示す群でも学生の学習の過程,取り組みや学びの違いが示唆され,量的研究のみでは明らかにならなかった満足を得ていることが示された.本成果は教育成果の検証において,課題に対して量的な研究では見いだせない解決を混合的手法がもたらす可能性も示している.