2022 年 6 巻 論文ID: 2022-019
近年,薬学部の定員数増加及び少子化傾向を背景に,一部の薬科系大学では,退学率及び留年率が増加傾向にある.そこで,最適な補習・補完教育の構築を目的とし,学生の特性により適する学習方略を検討するため,1)問題演習型補講,2)事前学習動画を用いた講義型補講の2つの方略を企画・実践し,その学習効果を検証した.その結果,前者では,成績中位群(第2群)において,非受講者の方が受講者より成績が高いこと,後者では成績中下位群(第3群)において,補講受講者の方が非受講者より成績が高いことを明らかとした.さらに,ゲーミフィケーションの概念を取り入れ,独自に作成した構造式かるたを用いた学習方略の立案・実践し,その評価を行った.その結果,学生間での事前共同学習が促されることで学習効果につながることを見出した.これらの研究より,学生の特性に合わせた学習方略を選択することで,効果的な補習・補完教育を提供し得ることを示した.