薬学教育
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実践報告
対話型アクティブ・ラーニングを導入した高齢者模擬体験が薬学生の介助能力の養成に及ぼす影響
岡部 文武長久保 大樹今野 亮
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2024 年 8 巻 論文ID: 2023-041

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抄録

本研究の目的は,MP大学薬学部で実践した対話型アクティブ・ラーニング(以下,「AL」と略す)を導入した高齢者模擬体験の学習内容を分析し,薬学生の介助能力の向上に資する知見を得ることであった.対象者は,高齢者模擬体験を受講した学生のうち,有効データは374名であった.学習内容は,学生が体験者,介助者,観察者の役割を設定した高齢者模擬体験の後,対話型ALを通じて,高齢者模擬体験における怖い・大変と感じた状況を解決するための介助方法を検討した.課題では,【姿勢】【歩行】【視覚】【聴覚】【立座行動】【階段昇降】について,体験者,介助者,観察者を通じて得た学びを自由記述させた.分析の結果,学生は不測の事態,日常生活での具体的な状況や複数の障害を有する高齢者を想定した介助方法を検討していた.そのため,高齢者模擬体験と対話型ALを組み合わせることは,薬学生の介助能力の養成に有効であったと考えられる.

Abstract

This study aimed to enhance pharmacy students’ ability to assist elderly patients through active learning by using an interactive simulation program at MP University. The 374 students who participated in the simulation experienced the roles of a “patient”, “caregiver”, and “observer”. The students first discussed methods of resolving potentially difficult situations with the elderly. Then, they used role play in various contexts involving posture, walking, vision, hearing, standing up, and walking up and down stairs. Based on these experiences, they described practical approaches to unexpected events that the elderly may encounter daily, especially if there are multiple disabilities or unpredictable behavior. This simulation activity, combined with active learning discussions and problem-solving, improved the pharmacy students’ skills in assisting and caring for the elderly.

目的

日本の総人口に占める高齢者の割合は29.0%であり,先進国の中で最高値を示している1).さらに,2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となる超高齢社会を迎えることから,医療・介護の整備・拡充が急務とされる2).このような背景から,薬剤師が患者・生活者本位の視点から地域医療,福祉,介護に関与することの重要性が明確にされた3).これらのことから,薬学生の高齢者に対する介助能力(以下,「介助能力」と略す)を養成することが重要と考えられる.

薬学部にてこれを養成する場合,老人介護施設における車椅子・食事・服薬介助46) や,高齢者模擬体験(以下,「模擬体験」と略す)が実践されている79).とくに,アクティブ・ラーニング(以下,「AL」と略す)を導入した模擬体験では,外見上の判断が困難な身体的制約の理解や,高齢者に係る認識変化79) を促進することが報告されている.また,看護学生を対象とした実践では,模擬体験の様子を観察させることで,介助の際に配慮すべき行動が理解しやすくなることが示唆されている10,11)

このような背景から,MP 大学(以下,「本大学」と略す)では授業において,介助能力養成のために,観察者を設定した模擬体験を実践している.また,筆者らは,効果的な介助方法を検討させるために,模擬体験における学びを共有・対話させる対話型ALを導入することにした.このような模擬体験は新しい試みであり,その学習効果を分析することは,介助能力に係る知見を獲得するうえで大変意義があると考えられる.また,役割(体験者,介助者,観察者)における学びを比較することは,介助能力の養成に貢献する経験を明らかにするうえで有効であろう.

したがって,本研究の目的は,本大学で実践した模擬体験における役割毎の学びを比較し,対話型ALと模擬体験を組み合わせる意義を明らかにすることで,薬学生の介助能力の養成に資する知見を得ることとした.

方法

1. 対象者

本大学が開講する初年次必修科目「健康運動演習」(以下,「本演習」と略す)にて実施された模擬体験受講者384名のうち,成績評価に係る課題を提出した374名であった.なお,全受講生が第1学年の学生であった.

2. 対話型ALを導入した模擬体験の概要

本演習は火・木・金曜日に実施され,模擬体験,心肺蘇生法,卓球,バスケットボールの4部門で構成され,受講生はこれらを輪番で受講する.なお,各曜日の受講者は約130名であり,1部門あたりの受講者は約30名,配当時間は160分であった.各部門の教員は3名であり,教員間で授業内容に大きな相違がないよう,授業展開を統一したうえで対話型ALを伴う模擬体験を実施した.

模擬体験の目標は,受講生に高齢者が直面する身体的制約を理解させること,身体的制約のある高齢者の介助方法を導出させることであった.模擬体験では,4~5名で構成された班を8班設定し,120分の模擬体験の後,対話型ALを約40分実施させた.

模擬体験では,高齢者体験キット(LM-060,LM-102,高研社製),耳栓,アイマスクを用いた.高齢者体験キットは,姿勢や上下肢関節可動域の制限装具,重りや視野狭窄ゴーグルを装着させることで高齢者の身体的困難を体験させる学習教材である.これらを装着させて,本大学構内にて歩行,立座行動,階段昇降を実施させた(図1).班員のうち1名を体験者,1名を介助者とした.他は観察者として模擬体験の様子を観察させた.受講者には,すべての役割を体験させた.

図1

MP構内における高齢者模擬体験の体験順路

対話型ALには,「えんたくん」(三ヶ日紙工社製)を用いた.「えんたくん」は直径1 mの円型段ボールに円型クラフト紙を重ねた学習教材である.対話型ALでは模擬体験を踏まえて①どのような場面で「怖い・大変」と感じたか,②「怖い・大変」な状況を解決する方法は何かを議論させた.

はじめに「えんたくん」の中央に議題(どのような場面で「怖い・大変」と感じたか,「怖い・大変」な状況を解決する方法は何か)を記させた.その後,模擬体験の学びを語句や文章で記し,関連しそうな語句や文章を線で繋げさせた.一定時間経過後,他の班の対話内容を確認させた.その際には各班1名を残し,対話内容を確認しにきた受講生に説明させた.共有した内容を踏まえて,再度受講生に対話させた後に議題に対する回答を示させた(図2).

図2

「えんたくん」を用いた対話型アクティブ・ラーニングの概要

3. 課題の内容

学習目標の到達度評価のために,受講生に課題を提出させた.課題は授業終了後に学習管理システムにて配布・提出させた.体験項目(姿勢,歩行,視覚,聴覚,立座行動,階段昇降)と役割を明記した様式を配布し,体験項目に関する学びを役割毎に自由記述させた.その際,高齢者の困難さに対する認識の変化や介助方法を記述させ,これらを成績評価の観点の1つとした.

4. 分析方法

対話型ALを伴う模擬体験の学習効果を検討するために,課題の記述内容を分析した.記述内容を表計算ソフトウェア(Excel ver. 16,Microsoft社製)に読み込んだ後,KH Coder(ver. 3, Beta.07e)を用いてテキストマイニングを行った.単純集計により抽出された頻出語を体験項目や役割毎に確認したうえで,頻出語の共起関係を検討した.対話型ALの学習内容は,「えんたくん」に記載された議題に対する回答を抽出した.その後,これらの回答内容を模擬体験担当教員3名によるKJ法12) により分類した.

5. 倫理的配慮

本演習第1回目の授業にて,成績評価に係る課題を提出する意義,次年度の本演習受講者に提出された課題の分析をフィードバックすることを口頭で説明した.また,この分析結果を研究成果として利用することについて,本研究の目的,調査協力は自由意志によること,個人情報の守秘義務など研究上の倫理性について口頭で説明を行い,同意を得られた者のみを対象とした.さらに,調査協力の同意はいつでも撤回でき,その者に関するすべての情報が破棄され,それ以降研究に用いることがないことを説明した.また,同意を撤回した場合でも成績評価に影響しないなど,いかなる不利益を被ることがないことも併せて説明した.その結果,すべての受講者から研究参加の同意を得ることができた.なお,本研究は明治薬科大学の研究倫理委員会から,成績評価に係る課題を用いた研究実施の承認を得た(承認番号:202324).

結果

1. 姿勢に関する共起ネットワーク(図3
図3

姿勢に関する共起ネットワーク

すべての役割で「高齢,姿勢,腰,曲がる,大変,歩く,杖」が共通した.体験者と観察者では「背中,動く,悪い」,観察者と介助者では「支える,介助,必要」,体験者と介助者では「体」が共通した.共通しない語句として,体験者では「猫背,関節,痛い」,介助者では「腕,合わせる,添える」,観察者は「人,見える」などが挙げられた.

2. 歩行に関する共起ネットワーク(図4
図4

歩行に関する共起ネットワーク

すべての役割で「高齢,段差,歩行,歩く,大変」が共通した.体験者と観察者では「杖」,介助者と観察者では「スピード,介助,必要」,介助者と体験者では「難しい」が共通した.共通しない語句として,体験者では「重い,動く」,介助者では「転ぶ,指示,ペース」,観察者では「周り,障害」などが挙げられた.

3. 視覚に関する共起ネットワーク(図5
図5

視覚に関する共起ネットワーク

すべての役割で「人,段差,視覚,目,見える」が共通した.体験者と観察者では「周り,歩く,不安,杖」,介助者と観察者では「高齢,障害,声,介助,伝える,必要」,体験者と観察者では「歩く,不安,周り,杖」が共通した.共通しない語句として,体験者では「視野,段差,恐怖」,介助者では「指示,状況,難しい」などが挙げられた.

4. 【聴覚】に関する共起ネットワーク(図6
図6

聴覚に関する共起ネットワーク

すべての役割で「介助,聞こえる,大きい,声,耳,話す」が共通した.体験者と観察者では「人,指示」,介助者と観察者では「高齢,伝わる,伝える,大切,必要」,体験者と介助者では「自分,聞き取る」が共通した.共通しない語句として,体験者では「不安」「周り」,介助者では「耳元」,観察者では「コミュニケーション」「観察」などが挙げられた.

5. 【立座行動】に関する共起ネットワーク(図7
図7

立座行動に関する共起ネットワーク

すべての役割で「高齢,椅子,座る,立つ,立ち上がる」が共通した.体験者と観察者では「大変」,介助者と観察者では「手,介助,支える,座,行動,必要」,体験者と介助者では「体,腰,難しい」が共通した.共通しない語句として体験者では「関節,後ろ,怖い」,介助者では「位置,補助,伝える」,観察者は「人」などが挙げられた.

6. 【階段昇降】に関する共起ネットワーク(図8
図8

【階段昇降】に関する共起ネットワーク

すべての役割で「階段,段差,介助」が共通した.体験者と観察者では「昇降,上る,降りる,杖,大変」,介助者と観察者では「高齢,手,人,支える,必要」が共通した.共通しない語句として,体験者では「恐怖,不安,見える」,介助者では「指示,難しい,腕」,観察者では「手すり,落ちる,危険」などが挙げられた.

7. 対話型ALで導出された介助方法(表1
表1

対話型アクティブ・ラーニングで導出された介助方法

設備・道具
設備(スロープ・手摺・エレベータ・点字ブロック)を利用する.
道具(杖・コルセット)を利用する.
盲導犬を連れる.
道路
安全(平坦・幅の広い)な道路を歩く.
スロープ・手摺がある場所まで誘導する.
介助者が車道側を歩く.
暗い場所では蛍光灯を用いて案内・介助する.
点字ブロック上に障害物を置かない.
知らない場所を訪問しない.
介助方法
一緒に寄り添って身体を支える(手を繋ぐ・腕を組む・肩を貸す).
高齢者が転倒しそうな方向に立ち,介助する(階段を登る際は高齢者の後方,降りる際は高齢者の前方に立つ).
介助者は高齢者の移動速度に合わせて歩く.
椅子に座らせる際は,介助者が高齢者を抱える.
コミュニケーション
わかりやすい指示を出す(「こそあど言葉」を使用しない).
先の情報(階段数・距離・障害物の有無)を伝える.
危険(歩行者・車・子どもの飛び出し)を察知し高齢者に伝える.
ボディタッチなど身体的感覚を利用して指示する.
聴覚に問題がある場合は,耳元や大きな声量で簡潔に情報を伝える.
点字を利用して会話する.
急に話しかけない.
健康増進
体力を強化する.
栄養管理を徹底する.
服薬する.

「怖い・大変な状況を解決する方法は何か」という問いに対する回答は,「設備・道具,道路,介助方法,コミュニケーション,健康増進」の5つの大項目に分類された.さらに,設備・道具は3つ,道路は6つ,介助方法は4つ,コミュニケーションは7つ,健康増進は3つの小項目に分類された.

考察

1. 対話型ALを導入した模擬体験の学習効果

姿勢では,猫背姿勢の高齢者は杖がないと歩行が困難であると認識されていた(図3).しかし,歩行では脚の屈曲制限や重りによる動き難さが頻出するものの,猫背姿勢に関する語句はあまりなかった(図4).このことから,薬学生を対象とした模擬体験では,猫背姿勢よりも脚の運動制限に関する学びを期待できると考えられる.本研究では猫背姿勢を自覚する学生が散見され,装具着用の影響が小さくなったと考えられる.この場合,背曲げ用エプロン11) や荷重チョッキ13) により負荷を高め,猫背姿勢を強調することが有効と考えられる.しかし,過負荷は腰痛などの障害の要因になるため,姿勢に係る学習効果を高める際は慎重に負荷を設定する必要があろう.

歩行では,脚の運動制限が段差昇降を困難にさせること,歩行速度を低下させることを学び得ていた(図4).これらの介助方法として,歩行者の歩行速度に合わせること,手や腕を繋ぎ転倒を予防すること,障害物の有無を伝えることが挙げられていた(図4).アイマスクを用いることで,多くの受講生が歩行に伴う危険を想起したことが報告されている8).障害物の有無を伝達する目的が衝突回避であることを鑑みると,介助者の体験を通じて高齢者の危険を回避する方法を学び得ていたと考えられる.その一方,対話型ALでは「介助者が車道側を歩く」といった日常生活の危険な場面を意識した介助方法が見受けられた(表1).このような学びは先行研究7,8,10,11,14では報告されていないため,対話型ALの導入は,模擬体験の学びを日常生活の具体的な状況を想定しながら介助方法を検討させるうえで意義があると考えられる.

視覚では,先行研究8) と同様に,視覚の遮断に伴って恐怖心が発生することが示された(図5).ただし,本研究は先行研究8) と異なり,視野狭窄ゴーグルと耳栓も装着させている.聴覚では,聴覚障害体験に係る先行研究9) と同様に,声量や会話の聞き取りに関する語句が共起した(図6)が,体験者が危険に係る不安を抱く点(図6)が異なっていた.視覚障がい者の移動支援方法として音響式信号機や音声誘導装置があり,音が外部を認知するうえで重要な要因といえる.視覚と聴覚を同時に遮断したことで,体験者が状況認知に係る情報を円滑に収集できなかったのではないだろうか.また,対話型ALでは,「点字,ボディタッチ,盲導犬」といった非言語的な介助方法が導出された(表1).視野狭窄ゴーグルのみを用いた先行研究11,14) では,視覚と聴覚の両方に問題を抱える高齢者の介助方法は示されていない.また,聴覚障がい者体験9) では,口の動きで情報伝達を試みる学生が散見されたことが報告されている.しかし,実際には視覚と聴覚の両方に問題を有する高齢者は少なくない.これらを鑑みると,アイマスクと視野狭窄ゴーグル,耳栓を併用すること,模擬体験と対話型ALを組み合わせることは,障害が複数ある高齢者の日常生活における困難の理解と非言語的な介助方法の検討を促進させる点で意義があると考えられる.

立座行動にて観察者は,高齢者にとって立座行動が大変と理解しているものの,その内容を具体的に言及していなかった(図7).その一方で,体験者は脚を屈曲できないことで,着席に対して恐怖心を伴うことが示された(図7).脚を屈曲させずに着席する場合はゆっくり着席することができないため,座面と臀部の強い衝突に伴う痛みを恐れていたが,観察者はこれを想像できなかったために,大変な理由を具体的に示せなかった可能性がある.立座行動を取り入れた先行研究14) では,本研究と異なり,起立時の困難のみが報告されている.その要因として,アイマスクや耳栓により椅子の高さに係る情報を十分に把握できなかったことが考えられる.看護学生を対象とした模擬体験では,「人によって安楽を感じる椅子の高さが異なる」と回答した学生が見受けられたことが報告されている11).本研究ではこのような回答は見受けられなかったが,立座行動には身長や体格によって適切な高さが異なること,不安を軽減できることに気づかせるために,高さの異なる複数の椅子への着席介助を取り入れる必要があると考えられる.また,介助者と体験者は腰が曲がった状態での立座行動が困難という学びを得ていた(図7).しかし,健常者や若年者であっても腰を曲げながら着席・起立を行うことはある.このことは,本研究では立座行動の阻害要因を的確に把握できなかったことを示唆するものである.老人介護学における模擬体験15) では,機能解剖学との関係性を考慮した学習の重要性が示唆されており,本研究の結果は先行研究15) を支持するものといえる.

階段昇降にて対象者は,階段(段差)における介助が必要であると認識しているものの,その要因は役割毎に異なり,体験者では脚が屈曲できない,高さがわからない段差の昇降に恐怖心を伴うが,観察者は介助があった場合でも,体験者が段差から転落しそうな様子を観察して恐怖心を抱くことが示された(図8).アイマスクを用いた先行研究8) では,本研究と異なり,体験者と介助者を通じて「踏み外す,転ぶ,落ちる」といった危険を想起することが報告されている.この要因として,体験者は視覚と聴覚が遮断されたことで,自身の置かれている状況の判断が困難になったことが考えられる.また,介助者と観察者が導出した介助方法は共通し,手や腕の保持や段数や高さを伝える必要があると認識している(図8).しかし,周囲や自身の状況を把握できない体験者の行動が予測できないため,どのような情報を,どのように伝えるかの判断が難しいと認識していることが示された(図8).その一方で,対話型ALでは「盲導犬を連れる,高齢者が転倒しそうな方向に立つ」という,行動予測が困難な体験者が転倒することを前提とした介助方法が導出されている.このような危険を連想させる語句が観察者にて頻出する(図8)ことを鑑みると,対話型ALにて観察を通じて得た情報を共有させたことが,行動予測が困難な高齢者に係る介助方法の導出を促進させたと考えられる.

2. 本研究の限界と今後の展望

本研究では対話型ALを伴う模擬体験の課題に対してテキストマイニングを行い,対話型ALを模擬体験に導入する意義を検討した.その結果,語句の共起関係から対象者の学びを窺い知ることができた一方で,対象者個別の学習内容までは分析できていない.今後は,語句が出現する文脈を考慮した文脈解析によって,より詳細に対話型ALを伴う模擬体験の学習効果や意義を検討する必要があろう.

結語

本研究の目的は,対話型ALと模擬体験を組み合わせる意義を明らかにすることで,薬学生の介助能力の養成に資する知見を獲得することであった.その結果,対話型ALは,日常生活における危険的状況の想起に影響することが示唆された.これによって,危機的状況を回避する具体的な介助方法の検討を促進できると考えられる.そのため,対話型ALを伴う模擬体験は,薬学生の介助能力を養成するうえで有効といえる.

発表内容に関連し,開示すべき利益相反はない.

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