薬学教育
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誌上シンポジウム:基礎と臨床の対話により知識統合教育を模索する
実務実習は基礎科学と臨床現場の関わりを実感して知識の活用を体験する場
―基礎と臨床の統合の重要性を考える―
嶋田 修治
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2024 年 8 巻 論文ID: 2024-046

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抄録

β遮断薬の点眼剤を点眼投与した際,投与量は経口投与と比較し微量で血漿中濃度も低いが全身作用による副作用が発生し,血漿中濃度から副作用の発現を予測することが困難である.そして薬学生は今までに学んだ知識でこの理由を説明できない.薬物は化合物であり,その特性を化学構造から評価できるのは薬剤師である事実を忘れてはならず,実務実習は基礎科学と臨床現場の関わりを実感して知識の活用を体験する場である.例えば,有機化学の知識を活用すれば,薬剤性のパーキンソニズムやせん妄の重篤化を回避することもできる.薬剤師は基礎科学の基盤と臨床現場が求めるスキルを身につける必要があり,本学では基礎科学と臨床薬学を統合する機会を提供するアカデミック・ディテーリング基礎演習を開講している.薬学教育では基礎科学と臨床薬学の統合が必要であり,それが薬学生の能力ひいては臨床現場の薬剤師に求められる全体的な能力の向上に繋がる.

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© 2024 日本薬学教育学会
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