論文ID: 2023-038
教育研究を行うことの難しさとして,どのように論文化まで持っていけばいいのか,イメージを掴みにくいことが挙げられる.本稿では教育研究に対する敷居を少しでも低くできるよう,量的研究を想定した教育研究の研究デザインについて自施設での事例を交えて検討する.第一に,一般的な臨床研究と教育研究との類似点と相違点について,母集団と標本との関係から紐解く.またリサーチクエスチョンを明確化するのに有用なPECO(PICO)を紹介し,これを用いて教育研究における研究デザインの枠組みを構築する際,どのような点の設定が難しいのか考察する.第二に,自施設での教育研究事例について,研究デザインの枠組みや苦労した点,工夫を行っている点なども含めて紹介する.最後に,自施設で行った教育研究から得られた注意点や課題について,筆者の視点を論じる.本稿が薬学教育に関わる多くの研究者にとって,少しでも有益となれば幸いである.