日本公衆衛生看護学会誌
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研究
保健分野で予防的に支援が必要な親の子どもへの不適切な関わり
―子どもの虐待問題に携わる専門職へのインタビューをとおして―
松原 三智子岡本 玲子和泉 比佐子
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2015 年 4 巻 2 号 p. 121-129

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抄録

目的:保健分野で予防的に支援が必要な親の子どもへの不適切な関わりを明らかにすることである.
方法:子どもの虐待問題に携わっている専門職24人に,半構造化面接を実施しデータを得た.分析は,要約的内容分析を参考にした.
結果:不適切な関わりは,「希薄な関わり」として【親が自身のことを優先して考え,親役割や責任に欠ける】【子どもの生活リズム・生活習慣・衣食住などが整えられない】【子どもの発達に合わせた対応・時間共有ができない】【子どもの意図・サイン・気持ちがくみ取れず,寄り添うことができない】が生成された.また,「過剰な関わり」として【力をもって制する】【子どもを否定・否認する態度を示す】【子どもに過剰な干渉,理想や期待を押し付け一体化する】【威圧的な言葉掛け・叱責・怒りを子どもにぶつけて制御する】が生成された.
結論:不適切な関わりにおける「希薄な関わり」はネグレクトと心理的虐待の,「過剰な関わり」は身体的虐待と心理的虐待の前段階の状態であることが示唆された.

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© 2015 日本公衆衛生看護学会
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