日本公衆衛生看護学会誌
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研究
子どもの障害に気づき広汎性発達障害と診断を受けるまでの母親の生活上の困難
今井 しのぶ古田 加代子佐久間 清美
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2018 年 7 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

【目的】広汎性発達障害と診断される前の児を育てる母親の,子どもの障害に気づいた時期から診断までの時期の生活上の困難について明らかにすることを目的とした.

【方法】1歳から6歳までの広汎性発達障害と診断される前の児の母親10名に半構造化面接を実施し,データを質的記述的に分析した.

【結果】母親の生活上の困難は【子どもの発達障害による反応や行動に振り回されながらも付き合い続けざるをえない】【気持ちと時間の余裕がなく心身共に疲れ切っている】【対応方法が分からず試行錯誤するが上手くいかず楽しみのない育児が辛い】【昼夜子どもに振り回され,自分が思い描く日常とは程遠い生活を送る】などという10のカテゴリーで構成されていた.

【考察】母親は,昼夜子どもの問題にまきこまれて生じる困難を感じていた.繰り返し不安を感じており,周囲から理解されず自らも壁を作り孤立する母親の気持ちに寄り添う継続的な支援の必要性が示唆された.

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