抄録
イチゴ育苗時における雨滴や頭上灌水はイチゴ炭疽病蔓延の主要因である.そこで点滴チューブによりセルトレイ上に敷いた親水性不織布に給水させ,切り口からイチゴ株元へ灌水する方法について検討した結果,本灌水法は本病に対する伝染抑制効果を認め,さらに雨よけを併用することで本病の伝染抑制効果は極めて高くなった.
また,全供試株の複葉1枚に本病原菌を接種した感染株における効果を検討した結果,本灌水法と雨よけを併用すると各株の発病進展を顕著に抑制した.イチゴ株元付近の温湿度変化を調査した結果,本灌水法では温度は高い傾向であったが,湿度は明らかに低く,湿度上昇を抑制させる効果があると考えられた.