日本植物病理学会報
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原著
ククモピン型Riプラスミドを保持したRhizobium radiobacterによるトマト毛根病(新称)
澤田 宏之, 畔上 耕児
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2014 年 80 巻 2 号 p. 98-114

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抄録
2011年10月,広島県におけるトマト(Lycopersicon esculentum)の大規模養液栽培施設で,養液栽培用培地の表面に多数の毛状根が発生し,培地表面が密に覆い尽くされる症状(root mat)が発生した.root matが形成された培地の内部にも,毛状根が密に充満していた.これらの罹病組織からは,乳白色~淡黄色~うすいベージュ色で不透明の円形集落を形成する細菌が分離された.分離菌株をトマトに刺針接種すると多数の細根が発生し,そこからは接種菌が再分離できた.本菌はグラム陰性,好気性で2~4本の周鞭毛を有する桿菌であり,その主要な生理・生化学的性質や16S rDNAの分子系統解析における位置づけはRhizobium属細菌に一致した.また,atpD,glnAおよびrecAに基づくMLSA解析において,本菌はR. radiobacterの単系統群に含まれた.以上より,本菌をRhizobium radiobacter (Beijerinck and van Delden 1902) Young, Kuykendall, Martinez-Romero, Kerr and Sawada 2001と同定した.また,本菌はククモピン型のRiプラスミドを有していることが確認できた.R. radiobacter(Ri)によるトマトの病害はわが国では報告がないため,本病を新病害としてトマト毛根病〔Root mat (hairy root) of tomato〕と呼称したい.分子系統解析の結果,本菌の染色体型には多型があり,本菌のgenomovarレベルの所属はgenomovar G7とG9に分散することが明らかとなった.一方,本菌やヨーロッパにおけるroot mat症状の原因菌が保持しているククモピン型Riプラスミドは,きわめて均一性が高いことが認められた.以上のことは,同一起源のプラスミドがヨーロッパと日本において,それぞれの土着の菌へと伝達された可能性を示唆している.
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© 2014 日本植物病理学会
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