1953 年 18 巻 1-2 号 p. 25-27
りんごの紋羽病を起す紫紋羽病菌 (Helicobasidium Mompa) 及び白紋羽病菌 (Rosellinia necatrix) の2, 3培養性質について研究を行つた。
1. 紫紋羽病菌は白紋羽病菌に比し, 其の生育度は極めて遲く, 殊に表生及び空中菌絲の生育に於て其の傾向が著しいもののようであるが, 潜入菌糸は白紋羽病菌に比し紫紋羽病菌の方が, 培地の奧深くまで侵入して蔓延し得る性質があるらしい。
2. 紫紋羽病菌及び白紋羽病菌は共に暗處に於ては明處に於けるよりも菌叢の生育はよく, 殊に白紋羽病菌に於てその差違が大きいようである。
3. 白紋羽病菌は培養6週間に及べばその4週間のものにくらべて菌叢の乾燥重量はさがつたが, おそらく自己消化によるものであろう。