日本植物病理学会報
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ソラマメ褐斑病菌の栄養に関する研究
糸井 節美
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1955 年 19 巻 3-4 号 p. 120-124

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抄録

1. ソラマメ褐斑病菌は, 活性炭処理によりビタミソ類の除去並にこれに thiamine を添加した Czapek-Dox 変液の両者に於て, 同様に良好な発育を示した。1方 thiamine 丈が不可欠とされている甘藷黒斑病菌は, thiamine を添加しない培養基では全く発育しなかつた。
2. 本菌は硝酸態並に亜硝酸態無機窒素化合物を同化して利用する能力がある。アンモニヤ態窒素化合物の場合は anion がCl, SO4の如き無機の酸根の場合にも窒素源として利用されるが, 蓚酸根, クエン酸根の如き有機の酸根の場合の方が利用価値はすぐれている。
有機態窒素化合物では tyrosine, glycocoll, asparagine は良好な発育を示すも leucine は之につぎ urea, cystine は不良である。
3. 本菌に於ける各種炭素源の利用価値については, 6炭糖類は fructose, galactose, mannose, glucose, 複糖類では sucrose, maltose, lactose の順に各々良好な発育を示し, starch も良好な炭素源である。
5炭糖類では arabinose は極めて優秀であり xylose もこれにつぎ, 高級アルコールでは, mannitol は稍良好であるが glycerol は炭素源としては不適当である。

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