日本植物病理学会報
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馬鈴薯疫病抵抗性の細胞生理学的研究
V. 抵抗性馬鈴薯細胞の過敏感反応に対する2, 4-Dinitrophenolの影響に就いて
冨山 宏平
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1957 年 22 巻 2 号 p. 75-78

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抄録
1. 強い抵抗性を示す馬鈴薯葉柄を縦断し,その切断面の皮層組織に疫病菌を接種し,接種後2時間30分頃に水および2, 4-Dinitrophenol (DNP)水溶液を真空透入した。2. DNP 5×10-4M,水溶液の処理によつて,疫病菌の侵入を受けた細胞の死は著しく遅延した。3. DNP処理生細胞内の菌糸蔓延速度は約3分の2に低下するが,菌糸の蔓延速度の低下は細胞死の遅延の原因とは考えられない, 4. 馬鈴薯塊茎SliceをDNPに浸漬すると,褐変の発現は著しく遅れ,遂に胞子形成に至る。5. 菌の侵入を受けた細胞のDNPによる過敏感死の遅延は菌の侵入に対する過敏感反応の抑圧によるのではないかと推定した。すなわち過敏感死に対する高エネルギー燐酸の関与の可能性を推定した。
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