1959 年 24 巻 4 号 p. 219-223
クワ芽枯病を基因する Hypomyces solani (Rke. et Berth.) Snyd. et Hans.[Fusarium solani (Mart.) Snyd. et Hans.]の2つの群 (αおよびβ) の菌を F. solani の既設の6つの form, すなわち f. cucurbitae, f. eumartii, f. phaseoli, f. pisi, f. radicicola および f. batatas と相互接種してその病原性関係を明らかにし, form 名および race を決定した。
α群は供試された寄主植物の中で単にクワにのみ局限された病原性をもつており, 既設の他の form はいずれもクワに病原性を示さなかつた。従つて本菌を Hypomyces solani (Rke. et Berth.) Snyd. et Hans. f. mori n. f.[Fusarium solani (Mart.) Snyd. et Hans. f. mori n. f.]と命名した。
β群はクワに対する病原力はα群より劣るが, クワのほかバレイシヨ塊茎, エンドウおよびカンシヨ苗を侵し, 特にバレイシヨ塊茎をはげしく侵す点で f. radicicola に近似している。しかし, 従来の f. radicicola はほとんどクワを侵さないところに相違がある。従つて本菌を f. radicicola の1つの race とみなし, Hypomyces solani (Rke. et Berth.) Snyd. et Hans. f. radicicola race 2[Fusarium solani (Mart.) Snyd. et Hans. f. radicicola race 2]とした。従来のバレイシヨ乾腐病菌は Fusarium solani f. radicicola race 1として扱うことにする。