日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
トマト疫病菌の寄生性分化に関する研究
第2報 Tomato race の分化
岸 国平
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 27 巻 4 号 p. 180-188

詳細
抄録

1. Ponderosa (罹病性), West Virginia accession-19, 36, 106, 700 (抵抗性) などのトマト判別品種により race の検定を行なつた結果, 供試菌はジャガイモ型 (potato type) および tomato race 0, 1, Xに分けられた。
2. tomato race 0を罹病性である Ponderosa 上で, 30代連続通過させても抵抗性品種に対する病原性には変化がなかつたが, 抵抗性であるW. V.-19上で10代連続通過させたところW. V.-19, 106などの抵抗性品種に対する病原性が強くなり, tomato race 0から tomato race 1への転化がみられた。
3. トマトおよびジャガイモそれぞれの判別品種により, 供試菌の tomato race および potato race における所属を調べ, 両者を比較対照した結果, 同一tomato race に属する菌株の中にも異なつた potato race に属するものがあり, また同一 potato race た属する菌株の中にも異なつた tomato race に属するものがあつて, 両 race の間には相関々係は認められなかつた。
4. トマトの栽培品種18について tomato race 0および tomato race Xに対する抵抗性を比較したがいずれに対してもとくに抵抗性の強いものは認められなかつた。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top