日本植物病理学会報
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トマト葉かび病菌の寄生性分化に関する研究
岸 国平
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1962 年 27 巻 4 号 p. 189-196

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抄録
1. 9府県より採集したトマト葉かび病菌54菌株は, Ponderosa (罹病性), Leaf Mold Resister No. 1 (cf1), Vetomold (cf2) およびV-121 (cf3) を判別品種として race 検定をおこなつた結果, Day の分類方式による race 0 (51菌株) および race 3 (3菌株) の2 race に分けられた。また race 0はさらに race 0(0), 0(1), 0(3), 0(1・3) の4つの subrace に分けられた。
2. 判別品種として用いた以外の抵抗性品種13に対し, 各 race, subrace に属する10菌株を接種した結果, Stirling Castle は race 0(1) に対して弱抵抗性, 他の菌株に対して強抵抗性の反応を示し, 他の12品種はどの菌株に対しても強抵抗性の反応を示した。
3. Leaf Mold Resister No. 1, Antimold BおよびV-121には生育後期にわずかながら罹病性病斑が形成されることがあつたが, これらの病斑から分離した菌株を race 検定した結果, V-121から分離したものはこれを侵す race 3であつたが, 他の2品種から分離したものはいずれも race 0であつた。
4. 葉かび病の病斑には角形のものと円形のものとが認められるが, そのいずれを生ずるかは品種によつて定まり, 突出型葉脈を有する品種は角形病斑を, また非突出型葉脈を有する品種は円形病斑を形成し, 菌の race と病斑の形との間には関連は認められなかつた。
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