日本植物病理学会報
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キュウリ・モザイク・ウイルスによるアジサイのモザイク病
田村 実小室 康雄
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1967 年 33 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
(1) 金沢市内および郊外においてアジサイ(四季咲)のモザイク症状株を2株採集した。
(2) 病徴は典型的なモザイク症状を呈し,葉は小型になり,また奇形症状を呈した。これら病株から汁液接種により容易に伝搬されるウイルスが分離された。
(3) その病原ウイルスは,その寄主範囲,物理的性質などから,また抗CMV血清との沈降反応,径30mμ内外の球状粒子がみられることなどからCMVの1系統によるものと判断された。
(4) 主としてアジサイに着生しているアブラムシ6種のうち,モモアカアブラムシ,ハゼアブラムシおよびイバラヒゲナガアブラムシの3種による伝搬が確認された。後2者は本試験によつて初めて媒介昆虫であることが明らかにされたものである。
(5) CMVが自然状態のアジサイから分離されたことおよびCMVがアジサイに病原性をもつことに関する報告としては本報が最初のものである。
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